Um unheimlich schmerzhaft schmerzhaft zu helfen!
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注意
・進撃の巨人パロ
・もはやパロじゃない
菠月は変わってしまった。と同期達は口をそろえて言った。それは、短い時間ではあるが、菠月とともにいた先輩達にも目に見えてわかることだった。
あの日、いつものように戦死者の死体を焼いた。その場所までしっかりと死体を抱きしめていた菠月は焼くことを最後まで嫌がった。それを兵長である梓がひったくり炎の中へ投げ込んだのだが、菠月はそれを見ているだけだった。それを見ていたもの達は異口同音に言った。
あの時、幼馴染と一緒に此瀬菠月は死んでしまったのだろうと。今ここにいるのは、菠月の姿をしたなにかなのだろうと。
ぽつんと皆と離れたところでひとり食事をとる菠月にかける言葉は見つからなかった。
ざしゅっと肉を削ぎ落す音が響き倒れた巨人は蒸気を上げる。その巨人を討った者はすでに別の巨人へと向かっていた。そんな彼を見て彼らは生き急ぐな、と言った。
―…き―
―…菠月…―
びくり、と彼は肩を震わせた。そして後ろを振り返らず走り出す。
無我夢中で走り、何かに躓き派手に転ぶ。転んだ瞬間、べちゃっと生理的嫌悪を催す物体に塗れた。
「…ひっ…」
ずるり、とヒトであったものが滴りおち、目の前に飛び散る。よくみれば、周りは血や肉塊が飛び散り、赤黒く染まっていた。
その時、
「…菠月」
ぽん、と肩に手を置かれた。その声は幼い頃からよくきいたもので。
「―ヒョウ…!」
ガ、とは続かなかった。雹我の持った剣の先が菠月の胸を貫いたからである。
「…ねぇ」
「ナンデイキテルノ?」
かっと目を見開く。ぜーぜーと荒い息の音が反響し焦点が定まらない。天井が見知った自分の部屋であることにほんの少し安心した。
「…うわ、汗まみれ…」
着替えよう、とベッドから出、新しい着替えを探す。
「…」
ぼんやりと、今までの事を思い浮かべた。その中で鮮やかに浮かび上がるのは二つのことだった。
一つは、死んだと思っていた両親が生きていたこと。菠月だけが生き残ったことは両親の耳にも入っていたらしく、思い切り頬を張られ何故お前が死ななかったのかと罵られた。両親が言うに、〈穢れた血〉である自分が死ねばよかったらしい。
もうひとつは、想いを寄せる兵士長と仲のいい分隊長のことだった。
「…俺、勝ち目ねーじゃん…」
はは、と泣き笑いにも似た声で、彼は哂った。
Um unheimlich schmerzhaft schmerzhaft zu helfen!
(痛い苦しい怖い助けて!)
(黒く深い沼に墜ちていくような気がした)
蛇足すると菠月の家系には東洋人がいて、菠月だけが覚醒遺伝的なもので東洋の血を受け継ぐんです。かなり昔の方なんで髪は茶色混じってこげ茶ですが。
そんな菠月のことを親は嫌っていて、あの時も幼い菠月をおいて夘月だけを連れて逃げるんですがその途中で夘月とも逸れてしまうんです。
あと梓君と心羅君は恋人同士だと思ってるお馬鹿さん。