Ich will nicht eine weitere wichtige Person zu verlieren!
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注意
・進撃の巨人パロ
・もはやパロじゃない
菠月は眠れない日が続いていた。眠ると夢のなかで彼は幼馴染や兄、助けられなかった人達に殺されるのだ。もはや、眠ることに恐怖を覚えていた。
(…死にたいな)
どうせ独りだ。喜ぶ人はいても悲しむ人はいないだろう。そんなことをぼんやり考えていると先輩兵の渇が飛んだ。
(…いつもと同じ。ただ巨人を狩るだけ)
うなじを削ぐ、この単純な作業を繰り返すだけ。簡単だ。
(よし、これで―)
背後で風を切る音がした。振り向けば巨人が少し離れた場所に佇んでいた。近いところにいたのに気付かないなんて。菠月は唇を噛みしめた。あいつも狩ってやる、剣を構え、ワイヤーを引っ掻ける場所を探し位置を変えた時、それは見えた。
巨人の手の中、そこに見知ったヒトが握られていた。
(あずさ、へいちょう…!?)
巨人の手の中の梓はぐったりとしている。気を失っているのだろうか、それとも―。
瞬間、梓の姿が目の前で死んでいった夘月や雹我と重なった。その時、前しか見えていなかった視界がクリアに広がった。
「――梓兵長ーっ!!」
叫び、ワイヤーを飛ばす。うまく近くの木に引っ掛かりガスを蒸かして菠月は跳んだ。
(死なせるか、もう、大切なひとを…!)
ゆっくりと、巨人の口が梓へと近づいていく。菠月はガス切れ覚悟で思い切り蒸かした。
「このっ……やろぉっ!」
思いきりうなじへ刃を走らせる。うなじを削ぎ落された巨人はぐらりと地面へ崩れ落ちた。その拍子に手からこぼれおちた梓を菠月は必死に抱きとめる。
「…うぉあっ!?」
しかし梓の体重を支えきれずバランスをくずしどさりと落ちる。
「い、てぇ…、つーか、へいちょ、おも…っ」
腕の中の梓は相変わらずぴくりとも動かない。まさか、と菠月がおそるおそる左胸へ耳をくっつける。規則正しい鼓動が菠月の鼓膜を震わせた。
「…いき、てる」
最悪の事態にはならなかった。それだけで菠月は酷く安心した。そのとき、ぅう、と呻き声をあげ、梓が身じろぎした。
「ぅ…あ…?」
ゆっくりと瞼が上がり菠月を映した。それでも意識はしっかりしているのか菠月?と問いかけた。
「…俺は…」
「巨人に喰われそうになってたんです」
「…ああ、そうだったな…」
「…梓兵長」
「なんだ」
「何故俺を助けたんですか?」
あの時、頭の冷静だった部分は背後に梓の気配を感じていた。そして、自分を助けたためにあんなことになった。
「答えてください、梓兵長」
菠月の視線を正面から受け止め、梓は言った。
「…失うのが嫌だったんだよ」
菠月は衝動的に梓の胸倉をつかんでいた。こうなるとは思わなかったのだろう。梓は目を見開いて菠月を見た。
「…俺だって!」
「Ich will nicht eine weitere wichtige Person zu verlieren!」
(もう大切な人を失いたくないんだよ!)
目覚ましました。さてさて、どうなるかな?←