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氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

もう俺はあなたに伝えられない

※奇病シリーズ※

【菠月は喉からぽろぽろと宝石が出てくる病気です。進行するとひとつひとつ言葉を忘れてゆきます。人魚の鱗が薬になります。 http://shindanmaker.com/339665

言葉が宝石になって出ていく菠月。

 

「…なにこれ」

第一声は、それだった。手の上のソレは、きらきらと輝いていた。

ぽろり、と転がったのは淡い黄色の宝石で。

「え…   、これ…ぇ?」

なにこれ、とまた言ったはずなのに、空気だけが流れる。そしてまたぽろぽろと宝石が転がり出る。

「…   !?   …!」

ひゅうひゅうと空気だけが鳴り、菠月は軽くパニックになる。携帯を手に取ったが、誰に何と言えばいいのかわからない。

(どうしよう…!どうしようどうしよう…!)

そのあいだにもぽろぽろとさまざまな色の宝石が部屋の床に転がりおちる。その時、携帯が震えだした。

びくりと身体を震わせ、液晶をみると見知った人の名前が表示されていた。

「…!」

すぐに携帯を開き通話ボタンを押す。

『菠月?』

「…あずちゃ、せんぱぃ…!」

大好きな人の声を聞き、張りつめていた緊張の糸が緩んだ。その時。

ごろり、と硬いフローリングに硬いものが転がり落ちる音がした。恐る恐るそれを見れば、真っ赤な宝石がきらきらと輝いていた。

『菠月?おい、どうした?』

携帯からは心配そうな声が流れ続けている。それに答えることはできなかった。

「ふ、っく…、うわあああん…!」

『菠月!?おい、何かされたのか!?おい、返事しろ!菠月!』

返事せず泣き続ける菠月に、今行く、と言い残し電話は切れた。その間に、ぽろぽろとこぼれ続けた宝石は菠月の周りを埋め尽くしていた。

(…これ、言葉?)

時間がたてば頭の悪い菠月でも理解できた。現にすでに言葉が出てこない。

(…この赤いの、先輩のことの時に出てきた)

まさか、と最悪の事態が浮かぶ。

―この赤い宝石は、自分の恋愛関係の、

「…っ!」

がり、と菠月は赤い宝石に歯をたてた。はやく、戻さなければと。

(やだ、好きっていえない、愛してるって、梓さんって)

しかし宝石には傷一つつかず、歯は鈍い痛みを発していた。

「…っ、っ…!」

止まったと思っていた涙がまた流れ始める。しかし、声は出てこなかった。

 

菠月は言葉を失った。

 

もう俺はあなたに伝えられない

(言葉を失った俺を、きっと梓さんは愛してくれない)

 

 

はい。ようやくかけました。奇病菠月。泣いてる菠月が書けて幸せ((

菠月は一人の時は梓さん呼びです。あと削る予定だった宝石かじるシーンも書けて幸せ。

続き、書いてくれたらなあ…なんて((