氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

頼ることを知らない龍のはなし

聖域から名前を捨てていなくなったスコーンと戻ってきてほしい緋月と蒼星と心配なシャルビーネの話

 

「…すいひ…っ」

どうすればいいのだろうか、とスコーンは顔を顰めた。目の前にはぼろぼろと涙を流す緋月とじっと泣きそうな目で自分を見る蒼星。二人がここに居る意味は、わかる。わかっている。

「…すぅ、シャル姉も、帰っておいでっていってるのだよ。帰ろ、聖域に」

「もう、すいひをいじめるのはいないから…っ!いても、それがしたちがっ…!」

 聖域、シャル、…『翠陽』

「…オレは、もうあそこへは帰らない。…帰れない」

「っなんで!?」

黄色のラインが曲線に走る黒い目を細めてスコーンは二人を見た。まっすぐ、前を見て歩いていける二人。でも、自分は。

アレを見てしまった。この醜い身体は、アイツとの約束―いや、アイツにかけられた呪縛だ。それは、オレとアイツしかしらない。知らなくていい。

そうだ、アレは、いつのことだったか―。

「…すぅ、すぅは我たちに何か隠し事をしているのだよ。鈍感なひぃもわかっているのだよ」

「…そうか」

「…すぅとひぃと我は、ずっと一緒だったのだよ。創られた時から、ずっと」

「…それでも、教えてくれない…?」

…それでも

「言えない」

二人を、彼女を、聖域を守るためには

「教えられない」

二人に背を向け、ぐっと足に力をいれる。その動作に飛び去ろうとするのに気付いた二人は精いっぱい手を伸ばす。

「緋月、蒼星」

おそらく、もう、会うことはないだろう。自分が会いたいと思えば別だが。

「オレは、もう翠陽じゃない」

さよなら、自分にいちばん近いきょうだい。

「…スコーンだ。空を司る緑の龍はもういないんだよ」

最後に見た二人の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。

 

 

「…翠陽」

玉座に腰かけ、その様子を見ていたシャルビーネは悲しげに彼の名を呼んだ。

彼女は知っていた。彼がここから去った原因を。それを知って、帰っておいでと言っていた。

「…あんたは、抱え込みすぎなのよ。少しは頼りなさい」

 

頼ることを知らない龍のはなし

(彼は、安心する場所が見つけられない)

 

多分このあとスコーンはクオーレさんのとこ言って抱きついてぐずぐずします←

スコーンについてとスコーンがみたアレについては、また今度。