友達になりたいから、
めげない蒼星
ぽつんと一人残された蒼星はこてんと首をかしげた。
「…あれれ、おかしいのだよ。すぅは友達になろうって言えばいいっていってたのに」
翠陽に聞こう、と蒼星は天空の塔へ足を進めた。
「は?駄目だった?なんで?」
「なんかよくわからないこと言われたのだよ」
大掃除もあらかた終わり、一息ついていたところに再び蒼星がやってきた。友達になれなかったと聞いた翠陽は頭にはてなを浮かべた。
「はじめまして、我と友達になってくださいって言ったのだよ。なんかおかしかったか?」
「いや…、んー…」
蒼星の言った言葉は間違ってはいない。おそらく、相手が相当の人間不信か恥ずかしがり屋か気難しい奴かなのだろう。それにしても、
「…なんでそこまでしてそいつと友達になりたいんだ?」
「ふぇ?」
「さっきも言ったけど、お前結構内向的だったじゃねえか。なんかそいつに執着する理由があんのか?」
こてん、と蒼星は首をかしげた。
「友達になるのに、理由がいるのか?」
また、蒼星はあの場所へ来ていた。今回はシャボンに乗っているが。
ふよふよと浮遊しながらあたりを見回しても人影は見当たらない。今日はいないようだ。
蒼星は彼が消えた海へ近づくと、海に向かって言った。
「我は蒼星。お前は?」
答えはない。
「我はお前と友達になりたいのだよ」
答えはない。雨がひどくなってきた。だから最後に。
「また明日くるのだよ。甘い物は好きか?明日一緒に茶を飲もう。お前と話をしてみたいのだよ」
友達になりたいから、
(何度でもここにくるのだよ)
あきらめが悪い蒼星なのです。