氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

「俺と結婚してください」

高校卒業式での菠梓。いつかのツイッターででたやつ。

 

クラスの奴の名前が呼ばれて壇上に上がっていくのをすこしぼんやりと見る。あと少しで自分の名前が呼ばれる。

今日俺、此瀬菠月は高校を卒業する。

ここでは、色々なことがあった。悲しいことも嫌なことも、うれしいことも楽しいことも。そんな思い出が生まれたここを卒業すると思うと、寂しくなる。

虎にぃは朝から泣いてた。俺とヒョウガを抱きしめながら、何度も「おめでとう」と繰り返しながら。にぃにも、夘月にぃも。それにつられて俺とヒョウガも少し泣いた。

…でも。

おめでとうって、一番言ってほしい人がいるんだ。その人に、一番言ってほしいんだ。

「―此瀬菠月」

「…はいっ!」

壇上にあがって、受け取る。階段を下りる前に保護者席を見る。出口の、近く。

(…あ、)

今、一番、会いたい人が。

 

「―梓先輩っ!」

式が終わり、解散の号令がかかるとともに外へ走り出す。その人は蕾の膨らみ始めた桜の木のしたにいて。

「菠月、」

「来て、くれたんですね」

「当たり前だろ」

そう言って優しく微笑んだ愛しい人を今すぐ抱きしめてしまいたい衝動に駆られるが、ぐっとこらえる。

少し会わないうちに俺の身長は梓先輩を超えていたらしい。少しだけ梓先輩の目線が上になっている。

「菠月、卒業おめでとう」

「…ありがと、ございます」

じわりとぼやける視界をこすってポケットに手を突っ込む。目当てのものはすぐに見つかった。

「…俺、ずっと言おうと思ってたことがあるんです」

「…?おう」

ソレを、先輩の前にだす。小さな箱を不思議そうに見つめる先輩。

 

「…俺、先輩からしたら、まだガキです」

「…でも、ちゃんと聞いてください。先輩、いや、梓さん」

 

「俺と結婚してください」

(あなたの人生、俺にください)

 

 

菠月がプロポーズする話でしたふぎゃあ。

勝手に卒業した菠月は梓くんより高身長にしちゃいましたほっちゃんすみません…!