氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

「そいつに触るな」

翠陽セコムになるの巻

 

 

「いいかげんにするのだよすぅ!凍らせるのだよ!?」

「やれるもんならやってみやがれ蒼星!雷落とすぞ!今お前のあめふらしで命中100%だぞ!」

「いい加減にしなさい二人とも…!」

聖域のど真ん中で今にも死合を始めそうな二人を必死に止めようとする創造主というのはなんともシュールだった。

縄張り争いする野良猫よろしく牙をむいている翠陽の横を何かが横切る。それにすばやく反応した翠陽は顔を引き締めた。

「紅玉髄(べにぎょくずい)!藍方石(らんぽうせき)!」

「っさー!」

「…ッス」

すたっと着地したのは二人の少年少女だった。二人とも似たような姿をしている。

「どうした?あいつを見ていろっていっただろ紅玉髄?」

「…あっしはちゃんと任務遂行してたッス。怒るならこの愚妹を怒ってほしいッス」

「ランちゃんひどいー!ついてきてくれるって言ったじゃんー!」

「…紅玉髄?」

ただでさえ怒りのメーターがカンストしている翠陽である。龍の波動撃つ準備はできている、とでもいうように手にぐっと力を入れた。ひっと引き攣った声が二人から漏れ、姿勢を正した。

「くっ、クーちゃんのおうちの近くに変な人がいましたっ!」

「すっげぇやな感じの奴ッス!クオーレ殿がいる国の奴じゃねえッス!」

「…えーと、こういうの、恐怖政治っていうんだっけ、絶対王政だっけ」

「…わからないのだよ」

二人の話を聞いた翠陽は少し考えるとはっと目を見開いた。

「わかった。紅玉髄、藍方石、塔の守備頼む。オレはちょっと出かける」

「えっ、スイちゃん何処行くの?紅達付いてこなくていいの?」

「ああ」

「…主、あっしは危険だと思うッス」

「ついてくんな」

有無を言わせない声色で答えると翠陽は飛び去って行った。残された四人はただならぬ翠陽の様子に顔を見合わせた。

 

(…間に合えよ?間に合えよ…!)

酷く息が苦しかった。二人の従者に伝えられた人物に嫌な予感がわいた。あの、ふたりの。

「!」

クオーレの部屋から音がした。それと同時に何かの力を感じる。躊躇している場合ではない。翠陽は思い切り扉を蹴破った。

「そいつに触るな」

(部屋にいた見知らぬ奴からは嫌な予感しかしなかった)

 

紅玉髄と藍方石は前々回登場?したラティ兄妹です。くわしい説明は後日しますが見た目は紅玉髄がロリです←