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氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

ウタカタ

もうだめだから現世を諦めたスレルーグ。

 

 

海中に射す光とはこんなに綺麗なものなのか、城の窓から外を眺めていたスレルーグはふとそう思った。

汚いものばかりみて汚いものを長い間接種していた身体は複雑なことを考えることができなくなっていたがこういう感想をまだ持ててよかったと思った。

思えばふたごであるシガレットには苦労ばかりかけてきた。あいつには、あいつの愛した人と幸せになってほしい。

いつもいつも暗い顔をしているアレモロルーナには笑ってほしい。女の子には笑顔が一番だから。

エルリックはもう少し自分に自信持ってほしい。見た目だけじゃないから。

こんなウチを拾って愛してくれたマイロード、誉さん。マイロードはあの子と幸せになってずっと笑っていてほしい。

あとで手紙にでも書いておこう、とぼんやり思った。その思考はまるで病に侵され死にゆく者のようであったが間違いでではないので否定せず引き出しから紙とペンをとりだす。

ふと、そんな思考のなかに浮かんだのが、ずっと想っていたブラッキーだった。

彼にも、何か遺そうか。そう思い新たに紙を一枚取り出し何を遺すか考えた。身内へのものはすぐに決まったのに何故か決まらない。混濁してきた思考で必死に考える。

…いつもいつも、あのエーフィばかり見て追いかけていたアイツには自分の溜めこんだこの想いを遺してやろう。

思いついたらすいすいとペンは進んだ。これだけ溜めこんでいたのか、と自分でも驚いた。書き上げた想いは簡単な単語が並んだだけの屑だったが、不思議と達成感が大きかった。

スレルーグは満足そうに笑った。その口の端から赤い血が一筋滴った。

 

 

『あんたのことすきだった。あいしてた。いまもおなじ。あんたはうちのことみてない。だから。うまれかわったら。ぜったいにふりむかせるから。おぼえとけ。1からうちをみそめてよ。 だれよりもいとしくてにくらしいあんたへ。』

 

ウタカタ

(せめてあんたの名前くらい知りたかった)

 

 

幼少時いけない薬を大量に摂取してた影響で寿命が短いスレルーグ。

手紙書き上げた後倒れて目覚まさなくなります。

イメージソングは天野月子さんの「ウタカタ」。