真実と理想の覚悟
「ねぇねぇあめみーあめみー」
「あめみー止めろ。雨宮だあ、め、み、や」
「あめみーでいーじゃんきゃわわだし」
「じゃあ今からテメエのことゆきむーってよぶな」
「なにそれきもい」
「じゃあヤメロ」
ハタから見ればおかしなやり取りをしている二人の名は雪邑(ゆきむら)と雨宮(あめみや)といい、創造主シャルビーネに創られた真実と理想を司るれっきとした神である。会話は人レベルだが。
「つーかきゃわわって何だきゃわわって」
「かわいいって意味だよそんなことも知らないのあめみーは」
「知らねえし知りたくもねえな」
「雪邑激おこぷんぷん丸」
「…」
おそらく人の間で流行っているものだろう。外をふらふらと飛び回る雪邑とは違い雨宮は聖域にこもり読書に明け暮れる日々を送っている。おかげで雨宮のあだ名は本の虫だの活字中毒だの本の寄生虫だのという何とも嬉しくないものである。だが本は雨宮にとって手放せないものである。
そんな雨宮が本を手放し雪邑とともに外に出たのは聖域ではできない話をするためであった。
「…俺はついていかねえぞ」
「あはは、やだなあ。堕天なんてしないよ。…それより、危険だしリスクもあることだよ」
ふざけた声ではなく真剣な声に変わったのを聞き雨宮はすっと目を細めた。雪邑がこういう声を出すのは遠い昔とある人間に手を貸した時以来ではないだろうか。
「…ちょっと、人に喧嘩売って返してもらうだけだよ」
「…泡沫、」
泡沫(うたかた)というのは雪邑と雨宮がふたつになったときの残った者の境界を司る神のことである。泡沫は、今現在聖域にはいない。
「…緋月と蒼星の件で始末書と軟禁…だっけ」
「…それから考えるとリスクはでけえぞ。多分軽くて永眠、最悪消される」
神の世界にも規律は存在し、罰も存在する。話に出てきた緋月と蒼星は過去に『喧嘩』で人の世界に豪雨と日照りをもたらし大きな傷を遺した。
それによりしばらくの間二人は軟禁されていた。解放されたしばらくの間の二人の様子を見た他の神達は何事も慎重に行動するようになった。
中に膨大な知識を持っている雨宮がはじき出した罰は永眠と抹消だった。
永眠とはその名の通り永遠に眠ることである。神は死なないため、意識がある状態で眠りにつかさせられる。抹消は、その名の通り存在を消されるということである。
そんなリスクを覚悟して行うべきことが、二人にはあるのだ。
「…えーと、ぐっらーく」
「good ruck」
真実と理想の覚悟
長くなった…!
ほんとは泡沫の話もあったんですがわけます…!
雨宮と泡沫はCP募集してますー!