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氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

クウハク

記憶を持たないで生まれ変わったスレルーグ

 

 

『      』

『      、      』

柔らかい光に満たされた世界で、誰かが話している。何故か会話は聞こえなかった。

淡いピンクの髪の少年が困ったような、泣きだしそうな、何とも言えない顔で口を動かした。

『――    、』

「っ!」

がばりと勢いよくスレルーグは起き上がった。時計を見れば少し起きる時間には早かった。

「…また、あの夢」

スレルーグは物心ついたころから同じ夢を見ていた。その夢は、ピンクの髪の少年と誰かが話をしている夢で、決まって会話は聞こえないのだ。

それを双子の兄弟であるシガレットに話すとシガレットは目を見開き、「相手は黒い髪の人!?鎌持ってる!?」などと聞いていたが相手がわからないと言うと「…そう」と落ち込んでいた。

「…気分転換に、散歩でもいこうかな」

 

柔らかな日差しに目を細め当てもなく歩くスレルーグは何故かデジャヴを覚えた。

(…夢の中みたいだ。この日差し)

目についた小さな公園に入りベンチに腰を下ろす。人はいなく、この世界に一人きりのような感覚になった。

―その時だった。

「…!」

向こう側の道を歩く男。何故かその姿に覚えがあった。

「…うぁ、」

視界がぼやけ涙があふれる。自分の記憶の、どこかの部分が叫んでいた。

自分の感情についていけず、涙の量は増えていくばかりだった。

(知ってる、ウチはあの人を知ってる。でもなんで?知らないのに。懐かしくてたまらない)

記憶のずっと奥の場所から、何かが顔を出そうとしていた。

クウハク

(名前も顔も知らないのにすごくあの人が愛しい)

 

 

という話。

スレルーグ以外は記憶持ちという設定。