少し遅い春
美也子と仁王が話してるだけ
「美也子ーみゃーこー」
タンタンタン。
「ねー、みゃーこってばー」
パラパラパラ。
「あっ、あそこにメイドさん!」
「いるわけないでしょう馬鹿じゃないの?」
「いだいっ!」
大きなボウルで思いっきり仁王の頭を叩く。ぐわん、と鈍い音が響く。飛び出した耳がふるふる震えて美也子は少し可愛いと思った。
「ほんと黙ってくれない?唾入るでしょ」
「何つく…あ、マドレーヌ!ちょーだ」
「駄目に決まってんでしょアホ」
甘い匂いをたてる焼き菓子に手を伸ばした仁王の耳を引っ張る。いたたたたたたっ!?と悲鳴を上げた仁王を隅に置いて美也子はマドレーヌを小さい箱に入れた。
「あ、行くの?オレも行く」
「あんたは毎日言ってるでしょ…、お願いだから私にあんた逮捕させないでね」
少し遅い春
(遅すぎる気もするけど)
美也子はなんかしら持ってギガちゃんに会いに行きます。お菓子とかお花とか。仁王は毎日のように行ってボコられてます。