氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

どうするこの状況

チームアラートの日常。

 

 

がしゃん

「ちょい待ちぃ司郎お前何がぶ飲みしてんだこら!」

「んく、味見しろ言ったのは先輩じゃないですか。けふ、私としてはもう少し塩が欲しいです」

「小皿に一杯でいいんだよおおおおおお!!!」

空っぽになった鍋の近くで一人の青年ががくがくともう一人の青年を揺さぶっている。揺さぶっている青年は軽く涙目である。

「朝飯のスープ、朝飯のスープ…」

「また作ればいいじゃないですか」

「司郎なんか嫌いだ!」

わあああん、と青年、謙哉は部屋に閉じこもってしまった。もう一人の青年、司郎ははあ、と息をつき鍋を流しに置いた。

「司郎さん一口が多いんですよ」

「恭也」

恭也と呼ばれた少年がにっと笑う。冷蔵庫から野菜を取り出し「ホラ、作り直しましょ」と声をかける。

「さっき電話あって、清市さん達、そろそろ帰ってくるみたいです。それまでにつくっちゃいましょ」

「そうですね。清市さんお腹空かせてるでしょうからね」

恭也と司郎、そして今ここにはいないがおそらく部屋でまだ眠っているであろう徹雄と淳と慶の先輩である清市達は仕事に行っており、もうすぐ帰ってくるのだ。帰ってくるまでに朝食の準備を終わらせないと恐ろしいことになるのを後輩の恭也達は身をもって知っていた。

「とりあえず、スープ作っちゃえば…」

ぴんぽーん。

「…」

『おーい?あれれー?もしかして寝てるー?けーんやー?きょーやくーん?しろーちゃーん?けーちゃーん?じゅんじゅーん?てっちゃーん?』

き た

即座に二人は目配せしこの状況を打破する方法を考える。しかし、神は時として困難を与えるようだ。

「あー…おかえりなさぁい清市さんん…」

「あー、てっちゃん寝てたのー?」

とん、と床を歩く音が聞こえた。

スープはまだ未完成。

どうするこの状況

(時間は止まらない)

 

 

という。清市が帰ってくるまでに朝食の用意をしておくのが暗黙のルールです。