さよならのあとに
曖昧な神様のおしまいと残された軍人さんの話。
ぼんやりとギラティナは座り込んでいた。
働かない思考の中で、「自分」を構成するものの消滅を感じていた。
「…会いたいな―」
薄れていく自我の中で、あの青年にもう一度会いたいと願った。どうやら彼の最期の願いを聞いたらしく、足音が聞こえた。
「…ルド君だぁ」
足音が後ろで止まる。彼は気づいたのかもしれない。自分の静かな崩壊に。
「ねえルド君。こっち来てよ」
戸惑うような声が聞こえ、ゆっくりこちらにまわりギラティナの目の前に屈む。彼の目に戸惑いの光が揺らいだ。ギラティナはそっと彼、スヴェルドの唇に自身の唇を重ねた。
「ルド君、おれね、消えるの」
「…え?」
「言ってなかったけど、おれ、神様なの。…不完全、みたいでさ、おかあさんが作りなおすみたい。「ギラティナ」を」
「…わ、っけわかんね、何だよ、それ」
「ルド君、大好き」
目の前のスヴェルドの顔が歪みギラティナをにらみつけた。
「ふっざけんな!何だよそれ、意味わかんねえ…!」
ふわ、と身体が軽くなる。ああ、きえる。
「…お、俺も、好きだった…!だか、だから…!」
消えないでくれ、といつもの彼らしくない声で呟く。
「…ごめんね」
もうおれにはきみをだきしめることもできないの。
「彼」は光となって消えた。
「ん…あれ…?」
浮上した意識。それは「自分」のもので。
「あ、おはよー」
「…おかあさん…?」
にっこりと一升瓶片手に笑うのはギラティナを創った「母」。何故、が頭を埋め尽くす。
「私も吃驚。新しく創世したのに何故かアンタなんだもん」
「…」
「ま、母からいえるのは、第二の人生楽しみなさい、ってことね」
は、とギラティナは顔をあげた。彼等は。
「おかあさん、ハルト達は…?」
シャルビーネはぱちくりと目を瞬かせた。そしてふ、と笑った。
「あとで教えるわ。大丈夫。いるわ。ほら、行きなさい、あんたの大切な人、いるんでしょ?」
脳裏に浮かんだのは、あの彼。
「…うん!」
慣れた手つきで空間を開き、そのなかに滑り込む。程なく空間は元に戻った。
「…あ、名前つけるの忘れた…」
空間の出口に、微かに彼の姿が見えた。
「…ルド君っ!」
空間から飛び出すと同時にスヴェルドを抱きしめる。腕の中のスヴェルドはぽかん、とした顔をしている。
「おま、え…?」
「ルド君、ルド君っ!」
スヴェルドの声が震えだす。ギラティナはスヴェルドの頭を撫でた。
「もうおれ消えないよ、ずっと、ずっとルド君と一緒だよ」
「もう、消えんじゃねぇよ、ばか」
さよならのあとに
(ハッピーエンドはやってきた)
みごと両思いになって名前貰えよギラティナ←
一応グローリアは壊滅してハルトは翠陽に説教されてパシられます。他のメンバーはそれなりに幸せにくらすはず((