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氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

多重人格で五つのお題 1 「多重人格」

「眠ると可笑しな部屋で目が覚める夢をみるんです」

「そこには、私がいっぱいいるんです」

 

 

「なぁにそれ、司郎さんがたくさんいるの?」

恭也はくすくす笑った。こいつに相談しなければよかった、と司郎は舌打ちした。最近夢見が悪いので兄に相談しようと思えば兄は仕事に出かけ家にいるのは目の前で笑っている少年だけだったというわけである。

「…司郎さん、疲れてんじゃないの?最近ごたごたしてたし。あとの仕事俺がやるから司郎さん休みなよ」

恭也はこう見えて、以外と気配りのできる奴でもある。その好意に甘えさせてもらおう、と司郎は思った。

「…お願いします」

 

くすくすくす。

あははははは。

来た来た来た。

「…またここですか」

あたりは大きな湖で司郎はそこに立っていた。歩くと波紋が広がり水の音が静かに響く。

その中央あたりに「彼等」は居た。

「あーっ!しろちゃん来た!」

ティーカップをもった「彼」も。

「んだよおっせぇなぁ。さっさと座れよ」

フォークを咥えた「彼」も。

「冷める」

ポットをもった「彼」も。

縫いぐるみをかかえた「彼」も。

眠っている「彼」も。

あっちの「彼」も。

皆、皆、皆。

「何故私がこんなにいるんですか」

ティーカップをもった「彼」がくすくす笑った。

「だってここはしろちゃんの精神世界。自分がいるのは当然でしょ?」

「…私がいるでしょう。あなた達は何故」

あはははははははは。

何かを砕いていた「彼」が笑い声をあげた。

「理由はかーんたん。僕等は君だもの」

「…は」

 

多重人格

(「僕等は君。君の人格達さ」)