碧い月光 プロローグ 「アンハッピーバースディ」
「すべては愚かだった私たちの罪」
「―名前は、決まっているのかい?」
男が傍らにいた女に問いかける。女は二人の赤ん坊を抱いて愛おしそうに目を細めた。
「ええ、決まっているわ。この子が慶でこの子が司郎」
「…司郎、は洒落かい?」
「馬鹿言わないでよ、もう」
女の腕に抱かれた赤ん坊の一人は白銀の髪をしていて、いわゆる「色違い」である。
「司郎、慶、私達の大切なかわいい子。産まれてきてくれてくれてありがとう」
二人は笑い合った。だから、この後に怒る悲劇なんて、想像できなかったのである。
アンハッピーバースディ
(これがすべてのはじまり)