氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

白衣と事務員と保健室

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保険医司郎と保険医補佐ジンと騒がしい事務員ラナンキュラス

 

 

「じゃーね司郎センセー」

「早く帰りなさいあと授業受けろ」

やーだね、と笑いながら少年は扉から飛び出した。入れ替わるように補佐である男が入ってくる。

「あれ、仁王帰ったのか」

「ええ、やっと」

苦笑いして男、ジンがカップに入ったコーヒーを司郎に渡す。一口飲んでふうと息をつく。

「あ、そうだ。消毒液切れかかってるんです」

「そうか」

「…」

「……」

黄色い瞳がじっと金の瞳を見つめる。暫く無言で見つめ合い観念したように金の瞳が伏せられた。

「ああもう…わかったよ」

白衣を脱ぎ袖を捲る。薄く血管の透けた皮膚が現れ司郎は腕をつかんだ。

「最初からこうすりゃいいんです」

「最初からってなあ…お前は刺して抜いて混ぜるだけだろ。こっちは暫く貧血とお友達なんだぞ。お前もやってみろ」

「嫌ですね」

司郎はジンの腕に躊躇せず注射針を突き刺す。くっとジンは息をつめたが司郎は黙々とジンの血を抜いていく。

「…よし、お疲れ様です」

「…おう」

司郎は抜き取った血を瓶に入れる。ジンは若干青白い顔をして椅子に凭れかかった。

「…消毒液が保険医の血で出来てるって知ったらあいつらもうこねえぞ」

「大丈夫です。むしろ喜びますよ」

「やめろ鳥肌たった」

笑っているが司郎の目は笑っていない。どこから取り出したのか一本の銀色に光るメスが握られている。

「いちいち抜くのも面倒ですし…ああそうだ一気に採っちゃいましょうか」

「おいやめろこっちくんな」

「大丈夫痛いのは永遠です」

「大丈夫じゃない大問題ぃぃぃ!!!」

ぎゃああ、と悲鳴をあげるジンに覆いかぶさるようにメスを―

カシャ

「え」

機械的な音が響く。音のしたほうへ目をむけると携帯を手にしたラナンキュラスが立っていた。

「え、え、ラナ?どうし」

「なんてこと…。まさか司郎ちゃんとだなんて…」

「誤解で」

「いいわよアレス君に言いつけてやるわ!!せいぜい修羅場になるがいいわ!」

「や、やめろぉぉぉぉぉ!!!」

携帯を握りしめ走り去るラナンキュラスを追う乱れた服装のジン。どうあがいても結果は見えているものである。

「あ、アレスくーん!」

「違う誤解だぁぁぁぁ!!」

 

白衣と事務員と保健室

(修羅場発展まであと五秒)

 

 

司郎にやましい想いはありません。ユグドラン君一筋なんで。