氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

存在する意味を頂戴

うちのクレイジー代表、サクロ(ジガルデ)の話。嘔吐表現注意。

 

 

「う゛ぇ…っ」

びしゃびしゃと逆流した胃液と一緒に消化されかけた固形物がシンクに叩きつけられる。つんとした異臭に吐き気がまたこみ上げ、サクロはまたシンクに嘔吐した。今度は胃液だけがシンクに吐き出され流しっぱなしの水に流されていく。シンクに凭れるように崩れ落ち、酸っぱい口に水を含み濯いだ。

「はっ…ぇ…っ」

胃がひっくりかえったような感覚と喉が焼けるような痛みに喘ぎながら水を飲み込む。体が受け付けないのか水を押し返すような感覚があったが無理矢理飲み下した。

「う、あ…」

無意識に流れた涙が頬を濡らしていくのを気にせず息を整える。

この吐き気、そして軽い拒食症が発症したのはつい最近のことだった。

「…な、ん、何なんですか、もぉ…!」

緑色の髪を掻き毟り吐き捨てる。色々なものがサクロの中で混ざり合いどろどろとしたなにかに変わる。

「わからない、監視対象に躾してもおさまんない…っ」

監視対象と呼んだイベルタルの男、ファイルンに八つ当たりのように暴力を振るったがどろどろしたものは無くならず、その上吐き気までこみ上げてきたので逃げるように戻ったのだ。

「うぅ…」

膝をかかえ蹲る。ふと霞んだ脳裏に浮かんだのは「同族」の二人であった。

「生命」を司る彼と「破壊」を司る彼。今の自分と同じ状態だったなら?

きっとまわりの仲間が心配する。想い人がそばにいてくれるだろう。サクロが嫌う監視対象も。

「秩序」という根本的なものを司る自分が一番惨めな状態にいる。

サクロの顔に自嘲するような笑みが浮かんだ。

 

存在する意味を頂戴

(答える者はいない)

 

カロス組の中で一番惨めなクレイジーサクロ。

拒食症は精神的にくるらしい、オカン曰く。