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氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

何故彼が王国へと逃亡したのか

オクタヴィオの話。

 

 

かしゃーん、と何かが落ちる音が響いた。薄紫色のワンピースを着た少女がかたかたと大きな水槽のようなカプセルを見て震えていた。

「あ…あわわわわわ…シ、シンディアさん~っ!!」

「何だいツカサ。俺これからテレビみなきゃ」

「テレビなんてあとあとですよー!大変なのですよー!はやくきてほしいのですよー!」

しぶしぶといった様子で白衣を肩にかけたぼさぼさの髪の男が姿を現す。ツカサと呼ばれた少女はぱたぱたと男、シンディアに駆け寄った。

「何だよー、リアタイでみたいのに」

「録画してるの知ってるんですよー!」

「リアタイで見て後日録画でも観るのさ。なんてったって月子ちゃんが出るからね!」

実にさわやかに言ったシンディアだがツカサははやくはやくと急かすだけだった。

「………おや」

水槽を見上げる。中には緑色の液体が満ちている。そしてその液体の中に、長髪の男がいた。

「何なんですかぁ!昨日まではいませんでしたのですよ!」

「ツカサ。あの液の中に入れてたの何か知ってる?」

「何なのですか?」

「神様の遺伝子」

「!!?」

 

―声が聞こえる

誰だろう?真っ暗だった「彼」の世界に緑色のカーテンに閉じられた景色が飛び込んでくる。

小さなニンゲンと大きいニンゲンが何かをしている。

ぴりりとうまくできあがっていない頭が危険信号を発する。

けされる?

実際二人―シンディアとツカサはそんなこと考えていないのだが生まれおちたばかりなのに出来すぎた「彼」の思考回路はいきすぎた答えを弾きだしてしまった。

いやだ、しにたくない。

ひく、と「彼」の指が動いた。

 

ぴし、と音が鳴った。

「…!!」

音ともに水槽に亀裂が広がっていく。シンディアは水槽の前にいるツカサの腕を引きこちらに引きよせた。

それと同時に水槽は爆ぜた。

「ひ、ひゃあああ!?な、なにが…!」

「…あららー、思考回路が働くまで成長してたー?…っ」

「彼」を生かす話をしていたのだが何か「彼」は誤解したようだ。シンディアは「彼」を探した。

液体が飛び散り水浸しになった床に散らばるガラスの破片。その中心に「彼」はいなかった。

 

無我夢中で「彼」は外へと移動した。

しかし外の知識を持っていない「彼」にはこれからどうすればいいのか、ここはどこなのかすらわからなかった。

ただ、生きたいと。

「彼」、オクタヴィオが唯一持っているものだった。

 

何故彼が王国へと逃亡したのか

(誤解とすれ違い。「彼」はただ生きたいだけ。彼等も「彼」も生かしてやりたいだけ)

 

 

シンディア達研究所はオクタヴィオを普通の人みたいに生かしてやりたいって思っていてオクタヴィオは消される殺されるって勘違いして逃げ出したって話。

多分このあと王国の人に拾われるかもしれないしされないかもしれない