氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

それは与えられたもう一度

いつかツイッターで話したカロス組のIF

 

 

 

表世界の神達とは違う存在であっても確かに自分たちは人とは違う存在なのだとは知っていたはずなのだ。

教会の掃除をしていたガロットははぁ、と息を吐いた。

その身じろぎで胸に下げた二つのロザリオがしゃら、と揺れた。

かつては騒がしくもにぎやかであった教会は今はガロット一人だけになっていた。皆その人生に幕を下ろしきっと転生の環に乗ったのであろう。唯一人間でありながら不死の力をもつ兄妹はいつまでもここにいたらいけないと言い教会を出て行った。

それでもほんの百年前まではガロットの身内、イベルタルの兄弟とジガルデも教会を寝床にしていたのだがいつまでもここにいるわけにはいかないとそれぞれの居場所に戻って行った。

「…私は、何を悔やんでいるんだ」

薄暗い教会の天井を見上げ呟く。

「…あいつと、私の寿命が尽きるまで共にいれないと、最初からわかっていたこどだろう…」

苦しげに歪められた顔はかつての彼からは想像もできない表情だった。

彼らは変わったのだ、彼らが愛した者によって、人間になれていたのだ。

「…なあ、雷京、会いたい、もう一度、お前に…」

ほろほろと頬を滑り落ちていく涙は冷たい石の床に落ちて砕けた。

 

翌朝、ガロットはいつものように教会へ向かった。それが習慣となっていたからだ。

いつも通り変わらない景色、のはずだった。

「…?」

教会の扉の傍に小さな籠がひとつ置いてあった。籠には白い布が被せてありよく見ると微かに動いていた。

「…なんだ?捨て子か?」

そっと布を取り去り、現れた赤子を目にしたガロットは息をのんだ。

 

それは与えられたもう一度

(…おかえり、愛する人。また会えたな)

 

 

いつかのカロス組パパ話、ファイルン、シュリーヴン、サクロの話も描きたい