「約束するよ」なんて
ニールとたったひとりの大切な妹の話
この子は俺が護るんだ。どんな手を使っても、この子が笑ってくれるならそれでいいんだ。
「ほら、ベーゼ、食べろよ」
「…うん」
皿の上のパンを掴み口に運ぶベーゼを頬笑みながらニールは見つめた。そんな兄とは反対に暗く沈んでいた。
「…ねえ、お兄ちゃんは?」
問いかけられえ、と漏らすとベーゼは俯いた。
「お兄ちゃんは、ご飯食べないの?」
「あ…」
ベーゼの問いかけに言いよどむとベーゼはニールに半分にちぎったパンを差し出した。
「…こんなに食べれないからさ、お兄ちゃんにあげる」
「…ああ」
ニールがパンをかじったのを見てベーゼもパンをかじった。
「…ねえお兄ちゃん」
「なんだ?」
「私のことはいいから、危ない事はしないで、お願い」
ニールは少し驚いた顔をした後、ほほ笑んだ。
「ああ、約束する」
「…約束したじゃない…」
一人きりの部屋でぽつりとベーゼは呟いた。
「お兄ちゃんの嘘つき、」
「約束するよ」なんて
(まもってくれたこと、一度もないよ)
一人で背負いこみすぎなニールと心配なベーゼちゃん