氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

本能と署長と

シュリーヴンは逃げたようです。

 

 

怯えた顔をした知らない男。それを見た瞬間シュリーヴンは青ざめた。

 

「あー、シュリたんおかえ」

「ぎゃあああああああああスプラッタァァァァァァァ!!!!」

にこにこと大量の書物を運んでいたダーティの笑みが固まる。傍にいた仁王はわなわなと唇を戦慄かせ叫んだ。

「…すぷらった?」

「スプラッタ!!鏡みなよ!」

リィエルから渡された手鏡を見れば額からどくどくと血が流れている。特に痛みは無かった。

 

「はい、これで大丈夫です」

「…ありがと、ファイ」

救急箱を片づけるかたわれを眺めながらさっき出会った男を思い出していた。

「…シュリーヴン?どうかしたんですか?」

心配性なかたわれのファイルンはシュリーヴンの顔を覗き込む。心配そうにゆれる瞳に息が詰まった。

「…散歩、してて、誰か、食いそうになった」

「…!」

さっとファイルンの顔から血の気が引く。一番ソレを恐れているのは彼なのだ。シュリーヴンは顔を顰めた。

「…ごめん、ファイ」

謝ればファイルンは青白い顔で、それでも安心させるように微笑む。小さく震えるシュリーヴンを優しく抱きしめ、背中を優しく摩る。

「…おれ、どうしよ、やだ、やだ…」

「大丈夫ですから、ね?謝りに行きましょう?」

 

本能と署長と

(どうしてこういう風に生まれてしまったんだろう)

 

 

多分逃げる途中で転んだかぶつけたかで流血したシュリーヴン。

後日シュリーヴンが謝りに行きます。