氷砂糖とアールグレイ

落書きとか小説もどきとかその日語りでもそもそもそ。

守るべきもの

翠陽の覚悟。

 

 

ばちり、と翡翠色の閃光が奔った。それの発信源である翠陽は静かに目を閉じていた。

瞼の奥で眼球が動いていて、一見夢を見ているかのようだったが、引き攣る顔と血が流れるくらい握りしめられた拳が夢を見ているのではないと物語っていた。

「―…」

一際大きく閃光が走り、光が膨れ上がって霧散する。翠陽はゆっくりと目を開けた。

「…主は今、ここに戻った」

塔がぼうっと淡い翡翠色の光を帯びる。その中央に立つ翠陽は、幻想的な、それでいて神々しい姿だった。

そのうち光は紋章の形になり、あるべき場所へ収まる。見えない何かが翠陽の横を通り過ぎ、翠陽の髪を揺らした。

「…なあクオーレ」

ここにはいない、想い人に語りかけた。

 

「オレはさ、覚悟なんてなくてただただ逃げてた。でもさ、お前に言われてわかったんだよ。だから〈翠陽〉を取り戻せたし、強くなれた。だから、今度はオレの番なんだ」

 

「オレが、お前を守る。何からでも、絶対に」

守るべきもの

(もうオレは逃げたりしない)

 

ほんの少しだけクオーレさんのお兄様の話をキャッチしたようです。

閃光バチバチしてたのは塔に結界張ったり色々。見えないなにかはラティ兄妹。翠陽の従者さん。

ラティ兄妹については後日。